講師 新妻(電子電気)
担当されている研修内容について教えてください

技術者のスキルにはいろいろな段階があるのですが、実際に研修している内容はいわゆる「基本編」のような内容が中心です。
たとえば、機械の制御技術を目指す方には、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)と呼ばれる、工場で自動で物を創り上げる機械をプログラムによってコントロールする機器へ入力の研修を受講していただきますし、電子回路設計を目指す方には、実際に回路を見て、部品を配線して、動かして、測定器でどのように動いているのかを測定しながら、リアルな体験として電子回路を学んでもらうような研修もしています。
基本編が多い理由は?
ラーニングセンターは技術者のキャリアアップをサポートする場です。そして、キャリアアップのためにはスキルの幅を広げていくことが大事です。もちろん応用も大事ですが、それは配属先などで実際の業務としても身につけていけます。けれども自分でスキルの幅を広げるというのはなかなか大変。なので、キャリアアップしていただくためにも基本編が多くなっているというのが現状です。
キャリアアップのチャンスというのは、なかなか計画通りにはうまくいかないことが多いものです。また、次のステップに進むためにキチンとスキルを習得してからというのでは、時間がかかりすぎる側面もあります。
逆にチャンスは意外なところに転がっているものです。
たとえば評価業務担当で配属されている常駐先で、ふとした拍子に設計に関することを「これ分かるかな?」と聞かれたりする。それが大きなチャンスなのです。そこで「はい、できますよ」と言えることにより、次のステップの仕事をさせてもらえるというようなことがよくあります。
このようなチャンスをしっかりとつかまえるためにも、基本編の研修を通じて幅広い知識やスキルを身につけてほしいと考えています。
エンジニアに望むこと

私は技術者にとって一番夢のある仕事は設計だと思います。技術者は先端的な分野の仕事に携わる機会が多くあります。まだその商品や機器が世の中に出回ってない頃から自分が苦労して設計したものが、次第に世の中に広がっていく醍醐味。そしてそれを自分が設計したんだ(作り上げたんだ)という喜び。それはやっぱり技術者ならではのものです。
けれども設計部門に携わるというのは、それほど簡単なことではありません。それこそ、意外なところに転がっているチャンスをしっかりとつかみ取らなければいけない。
そのためにはスキルの下地が必要です。技術者の皆さんには、ぜひチャンスをものにすることができるよう、常に幅広いスキルの下地を身につけてもらいたい。そして、技術者である歓びをしっかりと味わってほしいと思います。
トレーナーとして心がけていることは何ですか?
できる限り実践的なイメージをつかんで仕事に入れるような研修を心がけています。理由は何度も繰り返すようですが、キャリアアップのためのチャンスを逃さずにつかみ取ってもらいたいからです。
スキルや知識と言っても、100%を覚えられるものではないし、また覚える必要もないと思います。それよりも大事なのは、いかに分からないことを自分で調べて、イメージを作って、チャレンジをしていく姿勢を持つことができるかです。
だからこそ、研修はなるべく実践的に行い「自分で考えて自分で組み立てて」という内容にしています。
やっぱり皆さんは技術者なので、実際にプログラミングや入力をやっていると楽しくなってくるようです。休憩時間に「休もう」と声をかけても夢中になって続けている受講者もよくいらっしゃいます。なかには研修時間が終わっても、9時くらいまでやっていく方もいたりします。
こうした実践的な研修を通じて「できた」という充実感の提供と、「もっとやりたい」という意欲を喚起することが、トレーナーとしての私の役割だと考えています。
求職者へのメッセージ
私が技術者として入社した頃と比べると大きく変わりました。昔は「技術者を研修に出すと売り上げが下がる」という雰囲気がありました。けれども今は、技術者が研修を受けてスキルアップしやすい環境を会社が率先して整えています。
そして、営業サイドも「売り上げがダウンする」というのではなく、技術者が研修を受けてスキルアップすることで「自信を持ってお客様と商談できる」「スキルに見合った適正なチャージを提案できる」という意識に変わりました。そしてこれは、とても恵まれた環境だと思います。
技術者としてキャリアアップしたい、設計の仕事に携わりたいという方にとっては大きな可能性を秘めた会社です。ぜひ、この会社で大きな夢をかなえてください。そのためのサポートを私たちは惜しみません。
(例)カリキュラム
ディジタル回路設計演習 |
研修の目的 |
ディジタルICを使った基本的なディジタル回路の構成と動作を理解し、回路図通り回路作成できるようになる。 |
研修の内容 |
① ディジタル・システム
② ディジタルIC
③ データシートの見方
④ カウンタ回路
⑤ シフト・レジスタ回路
⑥ エンコーダ/デコーダ回路
⑦ マルチプレクサ/デマルチプレクサ回路
⑧ マイコン・システムの構成
⑨ 電源回路
⑩ クロック発生回路
⑪ システム・リセット回路 ・・・ほか |
PGA基礎研修(Verilog HDL) |
研修の目的 |
論理回路基礎知識の習得、FPGA基礎知識の習得、Verilog HDL基礎知識の理解、ModelSim使用方法の習得 |
研修の内容 |
① 論理回路の基礎
② ModelSimの基礎
③ Verilog言語の基礎
④ QuartusⅡの基礎 |
ミックスドシグナル回路設計演習 |
研修の目的 |
アナログ設計とディジタル設計が混在したミックスドレベル回路の設計手法を体験しツールを使えるようになる |
研修の内容 |
① ミックスドシグナル回路
② Verilog-AMSの概要
③ 代表的なミックスドシグナル・シミュレータ
④ ミックスドシグナル・シミュレータの特徴
⑤ SMASHチュートリアル
⑥ PLL回路の構成
⑦ PLL構成要素
⑧ PLL回路シミュレーション |
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